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「相手に伝える表現力」を身につけるには?

増澤美沙緒『売れる!楽しい!「手書きPOP」のつくり方』(同文館出版,2015)

売れる! 楽しい! 「手書きPOP」のつくり方 (DO BOOKS)

売れる! 楽しい! 「手書きPOP」のつくり方 (DO BOOKS)

 

 「手書きPOP」のつくり方を解説することで「伝える」技術をどう磨くか?を著した一冊。可愛いイラストの描き方も簡単に紹介してはいるが、そうしたテクニックの紹介を中心とした内容ではない。この本の主題は「POPに何を書くべきか」。商品の魅力を効果的に伝えるPOPを作成するためのヒントが詰まっている。そのうちのいくつかを下記にごく簡潔にまとめた。

 

質問に答えること
客がどんな疑問を思い浮かべるのか想像し、その答えをPOPに書く。

「どうしてここでこんなものが販売されているのだろう?」という客の疑問に対して「試食をしたらおいしかったから」という回答をPOPに記載する。この実に単純な回答で売り上げが向上したという実例が紹介されていた。「そんなまさか」と一瞬思ったが、考えてみると当たり前だ。「試食をしたらおいしかった」。ストレートかつ簡潔に魅力を伝えるキャッチコピーになっている。しかも「なぜだろう」という疑問が解かれたことで、納得して商品を手にとることができる。

使い時を提案すること
「誰が、いつ、どのようにこの商品を使うのか?」を考えて商品の使い時を提案する。

商品をどんな場面で使うのかを具体的に提案することで「試してみたい」と思ってもらう。この本ではレモンの売り場に「グラスを磨くことにも使える」ことを紹介するPOPを設置した例が紹介されていた。新しい使用法を提案することによって客層を拡大することにも繋げられるだろう。

その商品が「ある」生活を描くこと
「誰の生活が、どのようによくなるのか」を想像して、客にその商品が「ある」生活のイメージを持ってもらうことで商品の価値を理解してもらう。

商品が実際に暮らしの中に取り入られたとき、生活がどう変わるか。そういうことを想像させることばを添えることで、商品が「ある」生活を客に思い描いてもらう。具体的にどう生活が変わるのか考えさせることで、商品価値を伝える方法だ。

普段のことばで伝えること
「売りつけられる」という不安を拭う(親近感を持ってもらう)ことが大切。

つい堅い言葉を用いてキャッチコピーを作ろうとしてしまう人はいるのではないか、と指摘をしたうえで「普段のことば」を使うようにアドバイスしている。商品を売りつけられるという不安を拭うためには聞き慣れた・見慣れた表現で相手に訴えかけることが大切だという。

ターゲットを絞ること
客の趣味嗜好・生活を細かにイメージすることで狙った相手に対してより伝わるメッセージを考えることができる。

売り上げを伸ばすには幅広い層をターゲットにしたほうがいいようにも思えるが、実際にはターゲットを限定的にするほうが効果が大きいのだという。

 

【まとめはブクペにも掲載中】

売れる!楽しい!「手書きPOP」のつくり方。「相手に伝える表現力」を身につけるヒントが詰まった一冊。 | ブクペ